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2011/05/09

昔の夜は暗かった

 昭和初期、子供の頃の夜は、田舎はもちろん、都会でさえも薄暗く独特の陰翳に富んでいた。庶民の家庭の照明や電柱の電燈は裸電球だった。戦時中の疎開先の田舎の山村では、夜間の歩行などにもカーバイドランプを持ち歩いたり、隣家に貰い風呂に行けば五右衛門風呂の片隅にはローソクが灯されていたりしたものだ。月の光と相俟って何とも言えない不思議な雰囲気を醸し出していた。そんなわけで、最近の節電は少しも苦にならないどころか懐かしくさえある。 

 東日本大震災以後、節電意識がひろがって首都圏の夜の風景が大きく変わりつつある。スーパーマーケットをはじめ、商店街でも看板、ネオンサイン、店内照明、自動販売機などにも節電が実施されている。一般家庭もささやかながらいろいろ工夫をしているようだ。当然のことではあるが、最近の夜の街並みや道路はかなり暗い。

 福島原発の被災に端を発して、首都圏ではいわゆる「計画停電」が実施されたが、そのやり方について住民の一部に不公平感を持つものもあり、不満が沸き起った。結局、計画停電は中止となり、少なくとも現在は一般家庭の電気は通常通りに供給されている。現在はこの程度の節電でなんとか切り抜けているようだが、これから夏を迎えるとエアコンなどの電力消費が高まり、生産活動にも影響を及ぼすなど、再び不測の事態が起こりかねない。

 戦時中、米軍の夜間爆撃に備えて厳しく強制された灯火管制はともかく、昭和初期、戦後の貧しい時代や復興期に頻繁に停電を体験した世代にとっては、この程度の節電はあまりこたえないというよりは、個人的には薄暗い夜を楽しんでいる。 

 偶々何かの都合で質素な食事で済ませることがあっても、「戦時中や戦後の食糧難時代に較べれば」と、つい納得してしまうのは、やはりそういう世代なのだと思う。砂糖や玉子、バナナなどが高価なぜいたく品であった時代を知る人もだんだん少なくなっていく。

*本編「国際芸術見本市(ジャパン・アート・フェスティバル)始末記」については下記サイトをご参照ください。

http://gastrocamera.cocolog-nifty.com/blog/2007/01/post_9a53.html

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