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2011/02/26

「包む ― 日本の伝統パッケージ展」

 木、竹、笹、藁、紙、土など多様な素材を用いた日本固有のパッケージ(包装)の総合展示を観る機会を得た。永年こういう機会がないものかと期待していただけに、じっくり楽しむことができた。「包むー日本の伝統パッケージ展」は、東京・目黒区美術館で4月3日(日)まで開催中である。Img239_2

 木の皮、幹、葉、竹の皮、竹、笹の葉、稲わら、紙、土などを素材としたわが国古来の多様な包装デザインに接すると、昭和初期の幼年期の生活体験が懐かしく呼び起されるだけでなく、道具としてのそれらの機能美に改めて感嘆させられる。

 故郷の京都では、日常生活はもちろん、祝儀、不祝儀においても多様な包装スタイルが見られた。今日のようにプラスチックなどの新素材がなかった昭和初期には、自然の素材がふんだんに用いられたものである。自然の素材は極めて素朴なものであったが、今日ではその素朴さが、ある意味贅沢とされ時には付加価値を高めているのではないか。

 台所の角には醤油の1斗樽が置かれて、必要に応じて呑み口から片口容器に取り出す。自家製の味噌や梅干しを貯蔵する樽や甕も置かれている。釜で炊いたご飯はその都度お櫃に移す。木の香りが食欲をそそる。季節ごとに丹波から送られてくるマツタケは裏白の葉っぱと一緒に竹かごに入り、向日町から届けられる赤土のついた朝掘りの筍は笹の葉とともに荒縄で縛られてくる。季節感があふれる。

 慶弔時に近所に配られる赤飯やおこわは重箱に入れてその上には南天の葉が載せてある。重箱は風呂敷に包まれる。届け役は子供たちである。実は、趣向を凝らしたぽち袋に包まれたお駄賃が目的なのである。自家製の鯖ずしは竹の葉に包まれる。それを縛るのも竹の葉を細く割いた紐である。肉屋で牛肉を200匁、300匁と注文すると、竹の皮に包んでくれる。もちろん縛る紐も竹の皮である。兎に角「伝統パッケージ」は日常生活そのものであった。

 薪・炭、米は俵に、酒、醤油、味噌、菓子、料理、弁当、魚、干物、納豆、等々包装の対象にならざるものはない。昭和初期までは、これらの包装にはある意味「本物」を用いた。「本物」すなわち自然の素材である。樽、桶、経木、折箱、藁、和紙、陶器、などは今や贅沢、高価であり、おおかたは似て非なる新素材でこれを代用しているのが現実ではないだろうか。

 大量生産の現代では、包装は輸送、保護・保存のための包装技術と、主としてマーケティングのための包装デザインに別けて考えることが一般的である。

 展示期間は、2011年2月10日(木)-4月3日(日)目黒美術館で。開催時間は10時ー18時、月曜日は休館、電話:03-3714-1201

*本編「国際芸術見本市(ジャパン・アート・フェスティバル)始末記」については下記サイトをご参照ください。

http://gastrocamera.cocolog-nifty.com/blog/2007/01/post_9a53.html

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