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2008/10/22

コスタリカ - ひとつの異文化体験

 十年ほど前、JICA(現・国際協力機構)の短期専門家として、中米のコスタリカに滞在したことがある。日本政府が行う海外技術協力プロジェクトを支援するために幾度か往来した。滞在が一か月以上に及ぶこともあった。コスタリカは中米の優等生、軍隊を持たず教育を重視する政策をとっている。

 現地支援先の拠点は、日本政府がその創設を支援した生産性・経営開発指導機関であった。産業開発指導、専門家の育成、必要機材の供与などがプロジェクトの目的であった。 滞在期間が長期に及ぶ時には、所長室に隣接して自分の事務室を確保し、事務機器などを準備をしてもらう。そこが自分のオフィスとなる。事務室や講堂、実験室、教室等からなる建物は、ラテン特有のパティオを持つオープンな設計になっている。

 所長の秘書がこちらの事務補助を兼任してくれる。陽気なコスタリカの有能な「女の子」である。特有の開放的な設計ゆえに、廊下とも室内とも区別がつかないようなオープスペースに所長秘書はデスクを置いている。

 赤道に近いとはいえ、高地の首都サン・ホセは常春の陽気。一年中ブーゲンビリアなどの花々が咲き乱れている。時には大きなイグアナがのっそりと中庭に散歩に出てくる。小鳥たちも遊びに来る。のんびりした風土である。 そんな中米の人々は、老若男女、みな陽気である。ちょっと音楽が聞こえてくればすぐに拍子をとって踊りだす。

 さすがに日中の気温は多少上がり気味。開け放たれたドアを通して、流行りの陽気なサルサとかメレンゲとかいう中米特有のリズムが遠慮なしに侵入してくる。秘書のデスクには自前のミニコンポが置いてある。若い秘書は体をゆすりながら毎日の仕事が楽しそうだ。

 こちらはあまり気にもならないのだが、日本からの同僚が異議を唱えた。執務中の音楽をやめさせるようにと所長に申し出た。所長の顔は一瞬困惑気な表情に変わった。その秘書が終日音楽を聴きながら執務していることは全く自然なことであり、所長にとっても、百数十人いるスタッフにとっても特段に異例なことではなかったのだ。

 結局、我が同僚が妥協することになった。この一件は若い秘書に伝えられることもなく、彼女はその後も終日音楽を楽しみながら忠実に業務を果たしていたのだった。現役時代にしばしば訪れたフィリピンでも同じような体験をしたことを思い出した。異文化体験のひとつであった。

*本編「国際芸術見本市(ジャパン・アート・フェスティバル)始末記」については下記サイト「ジャパン・アート・フェスティバルを知っていますか?」をご参照ください。http://gastrocamera.cocolog-nifty.com/blog/2007/01/post_9a53.html

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