落穂ひろい(23)古いパスポート(旅券)
現在、旅券(パスポート)を持っている日本人は数千万人に及ぶ。(平成17年12月28日現在、有効旅券発行数は約3500万冊、日本人の4人に1人が所有しているらしい)。
平成17年の旅券発行数は約364万3000冊。取得者は20歳代が26.8%、19歳以下が22.2%、30歳代が15.8%、50歳代が12.8%。男性が47.8%、女性が52.2%。(外務省領事局発表の統計による)。
というわけで、年間の海外渡航者数が約1700万人の今日、若者や大人の大半がパスポートを持っているということになる・・・・・・
有効な旅券を持たなくなってから2年が経過した。ということは、現在パスポートが手許に無いということである。こんな状況は40年来なかった事である。
初めての海外渡航は昭和41年(1966年)2月の米国への業務出張であった。当時は、海外観光がやっと自由化されたばかり、年間の渡航者数は約16万人、それも大半が業務目的であった。
観光目的の外貨持ち出し限度額が500米ドル(18万円)という制限があり、それを超える業務費等の持ち出しには、事前に日銀の特別許可を申請する必要があった。
現在は、原則として誰でも10年間有効な数次旅券が簡単に取れるが、当時は特別の理由が無い限りは一次旅券が普通であった。
40余年間の国際業務を離れた現在、手許には25冊の古い旅券が残っている。すべて「無効化」を示すVOIDの打ち抜きが施されている。一次旅券、数次旅券、公用旅券などいろいろ。添付されている自身の顔写真を見ていると、その歳月の変遷が実感される。
初期の旅券は、表紙の色はブルー、サイズは現在のものよりかなり大きめの大型手帳程度。胸ポケットにも入らずに携帯にも不便。米国や大半の国々の小型旅券が羨ましかったものだ。
表紙が緑(モスグリーン)の公用旅券、これは国際技術協力要員として業務出張や国際会議に出席した際のもの。いわば臨時の公務員としての出張であった。
近年になって、一般旅券の表紙の色は赤、サイズも国際標準の小型に、数次旅券も簡単に取得できるようになり、旅券は極めて身近なものになった。運転免許証と同様に身分証明書としての市民権も得るようになったようだ。
「VOID」と刻印された古い旅券には、それぞれ渡航先である国々のビザ(査証)が示されている。また、渡航先での出入国を示す空港名や国名のスタンプが押されている。日本への出入国に際しては、法務省入管の出国・入国が記録されている。
古い旅券を見るともなしに見ていると、その時々の様子が少しずつ蘇ってくるものだ。現役時代の緊張感から解放されて、漫然と昔の日々を思い出している今日この頃である。もう新しいパスポーポートを手にすることもないだろう。
*本編「国際芸術見本市(ジャパン・アート・フェスティバル)始末記」については下記サイト「ジャパン・アート・フェスティバルを知っていますか?」をご参照ください。http://gastrocamera.cocolog-nifty.com/blog/2007/01/post_9a53.html
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