落穂ひろい(15)贅沢な旅行
先週は軽井沢、上高地へ2泊3日のドライブ旅行をした。
殆ど毎年訪れる軽井沢はさっと回り昼に蕎麦を味わう程度にして、久しぶりに小諸の懐古園を訪ねた。浅間山は、いまひとつの天候にも関わらずその雄大な山容を時々は見せてドライビングを楽しませてくれた。
この季節の懐古園は訪れる人も少なくひっそりと静まり返っていた。古城の苔むした石垣は、眼下に千曲川を見下ろす緑の丘陵と相俟って、いやがうえにも藤村の「千曲川旅情のうた」を思い出せる。日本の歴史や文化の豊かさ懐かしさを満喫させてくれる。それぞれの国に、それぞれの歴史と文化があるが、やはり日本人には日本のそれらがしっくりとするのである。
上高地は、昭和27年の夏休みに槍ヶ岳から下った時が最初、2度目は当時中学生の長男を連れて行った昭和52年頃、それから30年ぶりの今回であった。梓川を遡行して途中の沢渡の駐車場にマイカーを留める。その先はバスで入る。環境に配慮してのガソリンと電気仕様のハイブリッドだそうだ。
焼岳の噴火でできた大正池。湖面に突き出していた枯れ木は、すっかり少なくなり池そのものも以前と比べてかなり狭くなっていた。しかし梓川の清流だけは昔と変わりなく、手をいれてその冷たさを味わってみた。
山の天気は変りやすいが、午前中の快晴を狙ってホテルを出て林道を河童橋へ向った。真夏の上高地の混雑は銀座並みとまでいわれる。夏休みも終わり、短い黄葉の時期にはやや早い。人影も少なく、これこそが何にも代えがたい贅沢であると感じながら梓川畔を遡った。
河童橋からは、眼前に聳える明神岳の後方に唐沢、穂高連峰が絵葉書のような風景を見せてくれる。後方には焼岳もくっきりと望むことができた。ヨーロッパアルプスや、カナディアン・ロッキー程のスケールではないが、北アルプス独特の馴染みやすい山容はなぜか日本人には親しめる。そして、人の少ないのが何よりもありがたい贅沢なのであった。
帰路は、都心縦断の混雑を避けるために中央自動車道をやめて、八ヶ岳山麓を大きく迂回、再び上信越道佐久ICから関越自動車道を選んだ。あちこちにコスモスが咲き乱れる秋の信州路をゆく旅であった。
計850kmのドライブであった。
*本編「国際芸術見本市(ジャパン・アート・フェスティバル)始末記」は下記サイトからどうぞ:http://gastrocamera.cocolog-nifty.com/blog/
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