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2007/01/28

第二部 国際芸術見本市始末記・ニューヨーク展(7)

4月6日(水) 午前快晴、午後曇

 春の陽気。一時小雨降る。

 八時起床。九時、辛うじてユニオン・カーバイドビルのカフェテリアに駆け込み朝食にありつく。四五セントの朝食は、フランスパン、紅茶、トマトジュース、缶詰のピーチ。安藤嬢を連れて再びブロードウェー八十六丁目のファースト・ナショナルシティ銀行へ。

 午後、事務局長夫妻との三人で五番街を散歩。ロード・アンド・テーラー、B・アルトマン(共に五番街の有名百貨店)などに立ち寄る。一ドルネクタイを二本、タバコ三箱買ってホテルに戻る。事務局長の部屋で魚の干物で夕食。匂いが気になる。

・小学生グループの美術鑑賞に戸惑う

4月7日(木) 午後一時雨

 八時半、ユニオン・カーバイドビルのカフェテリアで朝食。午前中は会場に詰める。三十人ばかりの小学生の一群が先生に引率されて来た。少し解説をしてほしいとの申し出があり、幼い子供達への説明にいささか戸惑った。abstract(抽象的) とかchaos(カオス・混沌)などという単語はおそらく理解不可能だろうから。それでも、巨大キャンバスに描かれた吉原治良の黒地に白、白地に黒、黒地に赤の「円」シリーズなどは、彼らにも素直に受容れられたようだ。理屈ではなく感性だろう。 

 昼食後、事務局長夫妻とタクシーでメトロポリタン美術館へ行く。一室一室丹念に見て回る。三日もかければ全部回り切れるだろうか。ギリシャ、エジプト、ローマ、中世、近代、現代、etc. 

 ホテルに戻ってすき焼きで夕食。ザ・イーストの金澤朗氏より手紙あり。協会の今後についていろいろ想像をめぐらしている。金澤氏へ返事を書く。結局、手紙を書くのに二時間以上を費やしてしまった。

4月8日(金) 晴れたり曇ったり

 眠くて九時半にやっと起床。近所のドラッグストアでアップルパイと紅茶をテイクアウトして自室で朝食。午前、展示会場にしばらく詰める。ウォルドルフ・アストリアホテルに立ち寄りNYタイムズを購入、ホテル自室に戻って読む。ダナン、サイゴンなど南ベトナム各地で反政府抗議デモが盛んの模様。 

 昼食後、三人でグッゲンハイム美術館へ行くつもりで途中まで出かけるが、事務局長の気分が不調のため見合わせて、マーケットで買い物をしてホテルに戻る。明日は、事務局長の知人の招きにてワシントンDCへ桜を観に行く予定だ。

・週末のドライブ

 4月9日(土) 快晴。

 少なくとも朝のニューヨークは快晴。事務局長の知人岩井氏に招かれてワシントンDCへ。車は飛び切りのデラックス大型車。八時三十分、サンカルロスホテル発。ニュージャージー州、ペンシルバニア州(フィラデルフィア)、メリーランド州(ボルティモア)を経由してワシントンDCへ。フリーウエイが無限に広がる中西部とは異なり、東部にはトル・ロード(有料道路)が集中している。

 議事堂、ホワイトハウス、リンカーンメモリアル、アーリントン墓地、ワシントンモニュメントなどを回る。交差点で交通整理をする警官と野生のリスとのユーモラスなやりとりが微笑ましい。ズボンのポケットに入れたエサで手なずけているらしい。

 ニューヨーク帰着は午後十時。全行程約八〇〇キロ。岩井氏の招待でサン・ラックレストラン(Sun Luck・49th St. Bt. 5th and 6th)で夕食。午前零時すぎにホテルに帰着。

4月10日(日) 晴れたり曇ったり

 九時起床。今日は復活祭。五番街五十丁目へ、大変な人出だ。聖パトリック教会前でイースターのパレードを見たり写真撮影をしたり。思い思いの帽子で着飾る女性達の行列が続く。 

 午後一時、トレードセンター織田次長の迎えがあり車でドライブに出かける。ブロンクス動物園~ヘンリー・ハドソンパークウエー~スタッテンアイランド~ヴェラザノナロウス・ブリッジ~ブルックリン~クイーンズを回る。織田さん宅にて夕食をご馳走になる。小さいお子さんをみて英明のことを思い出す。九時に辞す。

4月11日(月) 晴、時々曇り

 特になすこともなし。昼食後ユニオン・カーバイドビルの会場を覗いてみる。人の入りはまずまず。事務局長とブロードウェーからタイムズ・スクエアなどを散歩する。

 事務局長によれば、中曽根さんより手紙が届いたとのこと。中曽根さん自身も近々協会からは身を引くらしいとのこと。最終的な決着は一体どうなるのか? 計画が進んでいるところをみれば、協会は存続するしかないだろう。

 世津子より便りあり。英明の描いたヒコーキの絵が同封されていた。夕食後自室に戻りシャワーを浴びる。

4月12日(火) 曇り

 午前中は会場へ。昼食後はホテルで過ごす。事務局長夫人は五番街へ岩井夫人と買い物に出かけた。会場に残されていたアサヒ芸能を読んで時間を潰す。再び展示会場へ。夜、五番街まで一人で散歩するが全ての店は閉店していた。

4月13日(水) 小雨、降ったり止んだり

 九時にホテルを出て小雨の中を散歩。コーヒーショップで朝食。展示会場を覗いてからマディソン街へ。煙草ショップに立ち寄りパイプを物色する。タバコ二包とともにロエヴェ(Loewe)を買う。初めてなので、一通りの扱い方法を尋ねる。

昼食後、自室に戻り雑誌を読む。事務局長夫妻と三人でレキシントン街を散歩し、マーケットで牛肉の塊を仕入れる。夕食はステーキ。部屋中に醤油の匂いが充満。青柳氏より便り届く。寄付金集めに青息吐息らしい。

4月14日(木) 快晴

 十時過ぎに起床。暖かい。朝食後、十一時より午後二時までユニオン・カーバイドビル会場に詰める。

・アメリカ人の金銭感覚

 三人連れの若い女性達、いかにも豊そうに見える。しかし、一冊一ドルのカタログをみてしり込みをしていた。「素晴らしいカタログだけど、自分たちには手が出ない」と言ったのが印象的。金銭に対する米国人の考え方、実に理にかなっている。彼女らは決してケチでもなければ貧しくもない。 

五番街散策の途上、ジェトロ・トレードセンターに立ち寄り、借りていたトランジスタラジオを返却する。織田次長は不在。応接室でしばらく日本の新聞などを読む。ホテルに戻り夕食。

夕食後ウォルドルフ・アストリアホテルへ夕刊を買いに行く。自室から世津子へ電話を入れる(「手紙を呉れるように」との事務局長の要望を青柳氏に伝えるよう依頼する)。折り返し青柳氏より電話が入る。「昨日出した」とのこと。

 いささかくたびれた。風呂はやめて床に入る。寝ながらテレビ。

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